いきなりですが質問です。「SONYのウォークマンと聞いて何を思い浮かべますか?」
- 通学中の自転車で聞いていた音楽
- イヤホンを片耳差し出して「この曲聞いてみて」といったあの頃のあの子
- YUI

YUIでしょ!
懐かしいですね。ウォークマン。よくよく思い出すと、カセットプレイヤーもMDもMP3も全てウォークマン。
どのプレイヤーも、「音楽を持ち運んだ記憶」を思い起こさせます。
新成人に聞いて見た
問題です。「自転車での通学中どうやって音楽聴いてたの?」
最近の新入社員(成人したて)は、なんと答えるでしょうか?
- ウォークマン
- iPod
- iPhone

3じゃないかな!
1〜3を選んだあなた、もうトシです。
2015年の「改正道路交通法(外部リンク)」もあって、自転車乗りながら音楽聴いてる若いやつなんかいません。危ないもん。
話は変わって、時価総額1位の企業Appleの話
iMac。
アップルのデスクトップパソコン。クビになっていたスティーブ・ジョブズがAppleに戻り初めて発表された商品で、業績が落ち込んでいたアップルの救世主となりました。
実はこのiMac、開発当初は違う名前が付けられる予定でした。スティーブ・ジョブズがもともと想定していた名前は…
「マックマン」
「ソニーを連想させる名前だ。でも言っておくと、まったく気にしていないんだ。ソニーは有名な家電メーカーだから、たとえマックマンがソニーの家電製品だと思われても、かえって好都合かもしれない」

むしろ、思い浮かぶんこれじゃね??
もちろん、Appleがマックマンを販売していたら、下手したら潰れていたでしょう。
iMacの登場により「 i 」はインターネットと自由に接続できる革新的なイメージを連想させ、Appleのネームバリューを大きく向上させます。
この「 i 」がどのように生まれたのか、iMacの名付け親ケン・シーガルは「Appleという会社が常にSimpleに考え続けて来たからだ」と言及。

ちょっと何言ってるかわからないですね。
・・・。詳しく説明します。本記事はMacの名付け親ケン・シーガル著「Think Simple」の紹介。
「Simpleに考えること」について以下3点、詳しく解説。
- Simpleが重要な理由
- マーケティングにおけるThink Simple
- 仕事への取り組み方としてのThink Simple
「Think Simple」の基本情報
題名 | Think Simple |
---|---|
著者 | ケン・シーガル |
翻訳 | 高橋則明 |
出版社 | NHK出版/td> |
発刊日 | 2012年5月25日 |
定価 | 1,600円+税 |
320ページの書籍。4時間で熟読。
Appleはプロダクトアウトな思想をする会社で好きです。技術者はみなロマンを感じるはず。それこそ最盛期のSONYのように。
ちなみにスティーブ・ジョブズは1998年ごろ「ナイキ・ディズニー・コーク・ソニー・アップル」を世界中でベスト5に入るブランドと評している。(今生きてたらソニーのことボロクソ言いそうだけども。)
著者
ケン・シーガル
クリエイティブ・ディレクターとして数々の賞を総なめ。スティーブ・ジョブズとはNext時代から計12年間、協働。
iMacの名付け親。
アップル復活において重要な役割を持つ。一方で、デルやIBMなどとも仕事をしてきたことで、各企業の違いを客観的に比較できるキャリアを持つ。
Think Simpleはこんな人におすすめ
- Apple製品が好きな人
- マーケティングに関わる人
- 製造業に関わる人
アップルはモノを売ることに長けた会社。
いかにブランドイメージを作り上げ電子機器を販売してきたのか、仕事の仕方から製品設計思想まで学ぶことが多くあります。
あなたが将来的に自分で何か商品を作り、販売してみたい人であればぜひ読んでみて欲しい。
私はその一人です。
Think Simpleの購入方法
書店での購入
2012年図書。書店で見つけることは少し難しいかも。
ECサイトでの購入がオススメですが、どうしても本屋で買いたい人は書店員に聞いてみましょう。
ECサイト
リンクはこちら。
Kindle Unlimited
「Think Simple」はKindle Unlimitedの読み放題書籍の1つ。私はこのサービスを利用して読みました。
Kindle Unlimitedの特徴は以下。
- 初月は無料(解約も自由)
- 月額980円
- 17万冊の和書が読み放題
さらに詳しく知りたい方は下記の記事をどうぞ。
Think Simpleの内容・感想
そもそもSimpleを実現することはとても難しい。ざっくり書くとこんな感じ。
- 網羅的にアイデアを収集(ブレーンストーミング)
- 情報を集約しテーマ付け(MESE)
- 不要な情報を選別(ミニマライズ)
- 重要なアイデアの深淵を図る(推敲)
この4つのステップを徹底的に行えば、大抵Simpleかつ最強なアイデアがでてきます。
が、なんだか「めんどくせ・・・」って感じなんです。
そのくらい最高のSimpleを人に届けるには難しく、かつ、めんどくさい。
このめんどくさいSimpleをAppleが企業文化として大切にしてきた理由を3つの視点から解説します。
- Simpleが重要な理由
- マーケティングにおけるThink Simple
- 仕事への取り組み方としてのThink Simple
Simpleが重要な理由
まず、そもそも「なぜ」Simpleが重要なのかという点。
人間はシンプルに惹かれます。
例えば、以下2つのドラマ。どっちをみたいですか?
- ひょんなことから始まった契約結婚。そのかりそめの夫婦が本当に恋に落ちるまで・・を描いた、恋愛ドラマ「逃げるは恥だが・・」
- 新婚女性がその上司と不倫におちいり、フィリピンに逃避行するものの、最終的に恐竜を復活させ、大魔王を倒し世界を平和にする恋愛ドラマ
あまり2を選ぶ人はいないかと思います。理由はストーリーが複雑すぎて誰もピンとこないからです。
Simpleなものか?Complexなものか?2択であれば人間は単純なものを選ぶ。
APPLEはとにかくSimpleに無駄の削ぎ落とすことで、価値を向上させてきました。
それは、製品開発から販売に至る全てにおいて。
- 製品バリエーション
- 製品名
- ECショップ
- 広告方法
Appleは常にSimpleを目指し、Simpleであり続けたからこそ顧客に愛され、ブランド価値を向上させ続けたということです。
マーケティングにおけるThink Simple
本著で紹介されているポイントは4つ。
- Think Minimal ミニマルに徹する
- Think Iconic イマージを利用する
- Think Phrase フレーズを決める
- Think Human 人間を中心にする
Think Minimal ミニマルに徹する
上記でも触れましたが、Appleは製品を無駄に増やすことはありません。
DELが18種類とバリーエーションに富んだノートブックの製品ラインナップを持ちます。
ただ、DEL公式HPを見てください。正直何がなんだかよくわかりません。
一方、Appleが持つ製品ラインナップはたったの2種類。
- プライベートで使うなら「非常に軽い」MacBook Air
- 仕事で使うなら「高性能な」MacBook Pro
選ぶのが非常に簡単です。
ちなみに、製品ラインナップが多いと起きるデメリットは以下。
- 購入時に迷う
- 購入後正しい選択肢をしたか不安になる
- コストが増加する
- 品質が下がる
企業側も顧客側も誰も得しないということですね。

例えばNiconの一眼レフなんかは種類が多すぎて、素人が好きなカメラを選ぶのに3年は要すると言われています。
Think Iconic イメージを利用する
スティーブ・ジョブズが追い出された後、Appleの業績は悪化。その後再びCEOとして戻ったスティーブ・ジョブズは企業イメージを向上させるためのキャンペーンを行ないました。
その時のスティーブ・ジョブズの言葉。
我々はブラン後を復活させなければいけない。その方法は、コンピューターのスピードについて語ることではない。ナイキは日用品を売っている。だが、人々はナイキをただの靴のメーカーとは思っていないはずだ。彼らは広告で何をしているのだろう。偉大なアスリートをたたえ、偉大なスポーツをたたえているのだ。
(一部省略)
Appleはこれを参考に科学、ビジネス、スポーツとあらゆる分野の探求において革新を起こした人を讃えました。
- アルバート・アインシュタイン
- ダマイ・ラマ
- ボブ・ディラン
こららの人々の白黒写真の下に「Think different」とアップルのロゴを小さく載せたものをポスターにし、あらゆる場所に掲示。
このキャンペーンにより「Appleは革新的な企業」というイメージを我々は持つようになります。実際、Appleは携帯とパソコンを売る会社というイメージよりも、なんか革新的な企業というイメージの方が強いのではないでしょうか。
ちなみに私が好きなこと。
- 主食は紙。お手紙は読まずに食べるぐらい紙が好き。
- 崖によじ登るのが好き。
- どちらかというと寝る前に数えられたいタイプ
羊です。
Think Phrase フレーズを決める
新しいPCのマックマン(仮)のネーミングの問題点は数えきれなかったそう。
第一にダサい。次にオリジナリティーがないし、ダサい。さらにジェンダーフリーな時代につけるManは性的差別表現にすらなりえる。何よりダサかった。
さて、スティーブ・ジョブズがマックマン(仮)につける新しい名前への要望は2つ
- 「Mac」を入れること。
- インターネットに簡単に接続できることが連想できること
作者のケン・シーガルがまず思いついた名前はiMacでした。iはインターネットに簡単に接続できることを簡潔に伝えています。
これ以上の名前がないと考えたケン・シーガルは3度のプレゼンを行い、スティーブ・ジョブズを説得したそうです。
結果、iはアップルブランドにおいて最も重要な小文字になりました。
今ではiと聞くだけでAppleを連想する人も多いはずです。
Think Human 人間を中心にする
Appleはできるだけ簡単な言葉で会話する風習があるそうです。
結果、ユーザビリティみんなにわかりやすい製品名が生まれるそう。
例えば、NiconにはD750という製品がありますが、Dも750も何を表現しているのか全くわからない。さらにD7500もD850もあって、何がどう違うのか本当にわからない。
こういう名前のつけ方は、よだれを垂らしたクマコアなファンであれば苦にならないとは思いますが、インスタ女子は・・スマホでいっか・・ってなってしまいます。
仕事への取り組み方としてのThink Simple
これは私の見解ですが、スティーブ・ジョブズは常に本質を求める人間。
意味のないことを嫌い、無駄な議論を捨て、自分にも他人にも常に行動を求めました。
そのスティーブ・ジョブズの指揮下、次第にAppleには以下のような企業風土が生まれます。これらはシンプルに仕事の本質を遂行する考え方だと思います。
- Think Small 少人数で取り組む
- Think Brutak 容赦なく伝える
- Think Motion 動かし続ける
- Think Casual カジュアルに話し合う
本書では紹介しきれませんが、様々なスティーブ・ジョブズらしいやり方が本書に記されていますので、是非読んでみてください。
大企業的(日本的)な働き方の否定
サラリーマンはみな経験あると思います。
- 出席するだけの会議
- 意味のない数字、計画、原価計算
- 〇〇推進室、〇〇統計部門、〇〇企画室
10人の管理職の下に100人の平社員がいる会社は良い(普通の)会社。しかし、企業が老化していくと、1000人の管理職の下に100人の平社員みたいな異常なことが平気で起こります。ここでいう管理職というのは、自身は何の付加価値もうまない人のこと。
例えば、パナソニック。2011年度にリストラが行われるまで7000人の人が本社で働いていました。(参考リンク)
本社機能(〇〇推進室、〇〇統計部門、〇〇企画室)の仕事はこんな感じ。(私は1年間、本社の事業統計推進室という部署で働いていたことがあります。)
- 会議室の予約、アジェンダ作成、資料のコピー
- 会議資料のための子会社への数字問い合わせ
- それっぽいことを上司に説明
無駄。
アップルはこの「大企業化」に徹底的に抵抗。結果、大きな価値を生み出す企業であり続けています。
スティーブ・ジョブズは超パワハラ野郎
ある日、会議室に入ってくるなりスティーブ・ジョブズはホワイトボードの前に立ち新製品の構想について夢中になって話し始めました。話すこと10分、スティーブは入社してすぐの女性に気づきます。
スティーブ「君はこのプロジェクトに関わっていたか?」
女性「いえ、でも上司が私の部署に関係があるから聞きに行けと言ったんです」
スティーブ「いや、君はいらない。さようなら。」
そう言いながら扉を開けたのも束の間、スティーブはまるで女性がいないかのように話の続きを始めました。

こんなん社長にされたらトラウマなって会議でれんくなるわ。
1秒でもクリエイティブな時間に。これがスティーブの考えでした。

1滴でもアルコールを。一方、これは私の金曜日の考え方です。
業務時間内に1秒でも多く働くために
ただ、がむしゃらに「何でもやるっすww」でやってた20代。仕事量は仕事時間でカバー。仕事が残っていれば残業すればOK。
30才を過ぎ、これじゃダメだなって感じてます。なぜなら1日24時間以上は働けないから。仕事効率化→成果が増える→仕事が増える。働くってこのループじゃね?最近そういう結論に至りました。
そして、仕事を効率化するには仕事できる人を徹底的に真似ることです。
仕事ができる人には工夫と経験があります。

一方、クラブで踊る女性には長めの髪の毛とテキーラが似合います。
「世界を変える仕事」をしたスティーブ達から学べ
スティーブ・ジョブズは紛れもなく「仕事ができる人21世紀代表」
本書にはスティーブ・ジョブズが仕事において何を大切にしてきたか、作者の経験をもって語られています。
私たちがどれだけ望んでも、実際にスティーブ・ジョブズと仕事をすることはもうできません。
ケン・シーガルのその経験を共有してもらう4時間は贅沢に感じませんか?

そう、まるでテリヤキボーイズとCapsuleがコラボしたあの夜のように。
Simpleに考える
- Simpleなデザインは売れる。それに儲かる。
- Simpleな働き方は成果が大きい。
- スティーブ・ジョブズと共に働いたケン・シーガルの経験を読もう
エクセルの計算シート、新商品のデザイン、なんやかんや「なんでこんなぐっちゃぐちゃになるんや!」って仕事中に少しでも感じるあなたにぜひ呼んでもらいたい!
Kindle Unlimitedで読めるので、軽く目を通してみては?
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